♯ 倍率0


何で今僕は、こんな場所でひとりでいるの。
それは自分で選んだから。



平等が正義だった。格差が悪だった。
求めることは罪で忘れることが罰だった。
三度目に君の死を贈ろう。
待ち合わせは交差点。ミッションメールは唐突で一方的。
それでも君はきっと来る。交差点の雑踏の中、ひたすらに君は目を凝らす。
君は僕の姿を見ることなく、僕は君に見つかることなく引金をひく。
君に三度目の死をあげる。
僕は君の中で共に死ぬ。
膝からくずれる君。満ち足りた微笑みが口元に張り付いた。



一度目のゲームは死に際の記憶。二度目のゲームは三週間という時間の全て。
そして今、僕は君から記憶を奪う。
三週間のうち、二週間目の記憶の全て。
涙が出るのは安心したから。この新しい世界で君は、きっと平然と生きていく。
リセットボタンはいつでも押せた。引金は軽すぎて嘘みたいだ。
始まりもお終いもあっけなく。
それでいいし、それが良いと心底思えた。
劇的な展開はゲームの中だけで十分だ。
淡々と過ぎていくのが現実であり、時間というものだろう。



やがて君は起き上がる。
君はなぜ自分がこんなところで倒れているのかがわからないだろう。
周りの人が心配そうに立ち止まり、遠巻きに君を見ているね。
この世界で君は普通に生きていけるはずだ。
だからこの涙は、君の中で死んだ僕に捧ぐ。

桐生義弥という名の一人の少年に。




忘却は優しくて記憶は残酷。
君にはやさしい方をあげる。
僕は残酷な方を選ぶ。



君は僕のいない世界で生きていく。
僕は君のいる、残酷な世界を生きていく。


*
odds=ゼロの出来レース。
結果なんて見えている。
得るものなんか何もない、失うことしか有り得ない、そんなゲームをしていたんだ。

*****
今回原稿作るときに、構想段階ではまだあったもういっこの方のエンディング後考察です。
結局こちらではない方を採用しましたが。
なのでハッピーなエンドも無視して書きたいように書きました。

撃ち合いのゲーム、あの時のエントリー料はなんだったのかなーと考えてみて候補がいくつか。
ヨシュア自身とか友達としてのヨシュアとか。
でも最近、ネクの参加した三回のゲーム全部の時間だったんじゃないかなーと考えていました。
時間を奪うと言うことはリセットボタンを押すような感じで、そうすると全部元通り、なかったことになるんじゃないかな。
そうすると何がいいって、消えたはずの参加者も死神も消えないでいてくれるかなって。
個人的には777とかナオとかがいてくれるとうれしいなーって。
これは時間と記憶が別物じゃないと成り立たないのですが。だってそしたら三週間の中であったことも全部忘れちゃうし。
それにこれはこれで、そしたら渋谷もリセットだからまたダメな感じに戻るかもだしそもそもあの世界の時間の流れ方なんか知らないしで穴だらけの仮説です。
わたしは死神やゲームやらのシステムをいまいち理解できていませんし。
例えばゲームに勝った参加者が、じゃあどうやって生きかえるんだよ!とずっと疑問に思ってます。
だってエリはちゃんとシキが死んだこと知ってたけど、そこでやっぱ生きてましたって、どうやって都合つけるのでしょうか。
なかったことにしちゃうのが一番楽な気はするんですけどね。

わかりづらい考察で失礼しました。
こういう部分でいろいろ考えて遊ぶのがまだまだ楽しいです。



080318