晴れ渡らない空を、それでも強い光を抱えて灰色く白い空を並んで見上げた。存在を確かめたくて伸ばした右手が左手に触れる。触れた瞬間ぴくりと震えて俺はそれ以上をためらう。
二人して並んでいた。並んで立ち尽くして晴れ渡らない空を見上げていた。この中途半端な空模様が今の俺たちの関係みたいに感じられて切なくなった。
それでもためらいを振り切って左手を握りしめれば、そっとゆるく力を返される。
それだけで、ますます甘く痛み出す胸の奥とか。
自分がどんな表情をしているのか自覚できない。見られたくなくて、だからずっと空を見上げている。
言葉も交わさずに二人で立ち尽くしている。
手だけ繋いでしばらくを二人きりで過ごす。
これだけのことがどんなに奇跡的だったのか、言葉を尽くしたって伝わらない気がする。





ひとつの約束をどうにかあいつに頷かせて、まずしたことはみんなへのメールだった。
そういえば俺から誘うのってはじめてだな、メールの送信完了画面を見て、それからばらばらにくる返信を確認して、思った。
みんなに言うことを考えると何となく照れくさいような、居心地の悪いようなそのくせ楽しいような気持ちになってなんだか落ち着かなかった。
そして約束の時間、待ち合わせの場所。
今日は何かあるのか、と聞いてくるビイトの表情が言葉の調子とは裏腹にわかりやすい心配を含んでいて変な風に笑ってしまった。
別に何ってわけじゃないけど、前置きをしてから、みんなを見る。
シキが、ライムが、ビイトが、それぞれの表情で俺を見ている。

「あのさ、友達、連れてきたんだ」

その一言がどうしようもなく胸の奥を落ち着かなくさせる。なんだか、体温まで上がっている感じだ。
後ろを振り返っても誰もいない。ついて来い、って言ったのに。最後まで渋ってたけど、きっとそのへんにいるはずだけど。
呼んでいいかな、と聞くと、みんなは笑って頷いてくれる。

「えー、だれだれ、どんな人?」

シキが楽しそうで、俺も楽しくなる。

「そうだな、とにかく勝手なヤツでさ」
「そうなの? 男の子?」
「うん。あと、ちょっとムカつくヤツなんだけど、」
「ちょっと、誰が、勝手でムカつくヤツなんだって?」

思わず口元が笑ってしまうのをおさえられない。
また変な顔とか言われるのかな。ムカつくな。
けど、それでもいい。
今は何でも許せる気分だ。

「もちろん、お前のことだろ」

振り返れば、今度はそこに、あいつがいる。
なんだか少し困ったように笑っていて、それが照れている顔なのだと気付いてますます楽しくなる。

「はじめまして」

俺の目の前に俺の大切な人がいる。
シキが、ライムが、ビイトが。
そしてヨシュアが。
うれしいのに、楽しいのに、胸が痛くてそれでも口元は自然と笑ってしまう。
なんだかいっそ泣きたいような気持ちのままに、俺は一度ゆっくりと瞬きをして、この時間を、この場面を心に刻む。





*
6、(side NEKU)





*****
どうにかしてネクにもヨシュアにも幸せになってもらいたいです。
きっと自分を不幸とは思ってないと思うけど。
それでも子供らしい表情で笑っていてほしいと思います。
そんな微笑ましいかわいらしいシアワセを手にしてほしいです。



080801